定年後のチャレンジ
昨年の日本人の平均寿命は、男性が78.64歳、女性が85.59歳で、日本は世界一の長寿国です。不老長寿は、秦の始皇帝も探し求めた、人間の夢である。日本人は、その夢をかなえたとも云える。
しかし、日本人の自殺者数は、昨年3万人を超えている。そのうち、60歳以上の人が1万人を超えているのである。交通事故死が1万人台だから、自殺者の多さに驚かされる。
悠々自適で楽しい余生を送るべき老人の自殺者が多いのは、どういうことなのだろうか。しかも、自殺をするのは、女性よりも男性が圧倒的に多い。それが男女の寿命差に影響しているともいう。
これは、8月13日の日本経済新聞に載っていたデータだが、「定年後に打ち込みたい(打ち込んでいる)趣味や活動はあるか」の問いに対して「ある」が69%で、「ない」が31%であった。「ない」の理由に「何をしていいかわからない」というのがあった。
私の周りでは、趣味のサークルを楽しんだり、ボランティア活動をしている女性の方は多い。それに比べて男性の参加者は少ない。男性は、地域社会の中に入ってこず、昔の職場仲間とのつき合いが続いているのかもしれない。そういう人たちには仲間がいて、楽しみも持っているのだろうから、定年退職後の生活を楽しんでいると思う。しかし、「何をしていいかわからない」と言って、家に引きこもっている定年退職者がいるとしたら、その人たちは何の活動もせずに10年も20年も過ごさなくてはならない。そんな生活に耐えられるのだろうか。老い込んでしまい、うつ病に冒されてしまうかもしれない。生きていることに絶望感を感じるのかしれない。
「何をしていいかわからない」「何もすることがない」ということが、中高年者の自殺の一因にもなっているのだろう。
私たち日本人は、長寿を手に入れています。自らの命を縮めることなく、会社時代とは違った世界に飛び込みチャレンジする気持ちを持ちましょう。俳句・詩吟・陶芸等のサークルに入って趣味を楽しんだり、体操・ウォーキング・水泳・ゲートボール等のサークルに入って健康づくりをしたり、ボランティア活動をしたりとチャレンジするものは、いくらでもある筈です。そんな活動をすることにより、健康で自立した心豊かな生活を送りたいものです。
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